こんにちわ!お世話になります。DKです。
今回も管の施工方法ですが、塩ビパイプの中でも少し特殊な管『HT管』についての施工方法と継手の種類、そして注意点を解説していきます。
因みに私は使用しません。もし見つけたら取替を提案しています。設計士さんや元請さんからの絶対的な指定が無い限り説明して変更してもらっています。
塩ビ管、塩ビパイプ③
HT管
準備
まず下見。
1.お施主さんと打合せ
- どのような器具をどこに設置するのか?
- どのような目的で使うのか?
- 流動体の温度は?熱源機の能力は?
をお聞きする。
流体の温度と熱源機の能力をお聞きするのは2の最終確認項目の2つ目に連動する。
上記3点を教えていただいたら
2.この管種でホントにいいのかを最終確認
- 熱による伸縮が激しいことを説明
- 他の代替品を提示してみる
- 分岐箇所に配管がかるか?
- 口径と管種は?
『熱による伸縮が激しいこと』は非常に厄介である。実はVP管やHI管でも伸縮するのだが、パイプの中を通る流動体が水なのでそんなに変化はしない。するなら、外的温度によるものである。
だがHT管は耐熱性塩化ビニル管である。お湯を通す管であるので、内外からの熱の影響を受け伸縮する度合いが大きい。
その結果、VP管やHI管の用に素直に配管すると将来的に管が折れたり割れたりする。
二つ目の『他の代替品を提示してみる』は1.お施主さんとの打合せでお聞きした流体の温度と熱源機の能力を元にして現場の状況や使い勝手、将来的な修理などの金銭的な面も含めたメリット・デメリットを説明する必要がある。
代替品の例として熱源の能力で給湯温度が70°以下の家庭用直圧式ガス給湯器の場合
- 70°になると設計耐圧が0.4Mpaとなる
- 直圧式な為、水道と同じ0.3~0.4Mpaが常にかかる
- シングルレバー水栓等によるウォーターハンマー効果で1.0Mpa位を想定すると許容量を超える。
- 塩ビ管のため強度が落ちて折れる、割れる、破損する。
- その為、銅管の方が長持ちする。とか、架橋ポリエチレン管の方が修理が安く済む等の提案をする
その他にも業務用の給湯器、厨房の中等の諸事情によりステンレス管を提案することもあるし、一般住宅なら上記5番のように銅管か架橋ポリエチレン管を提案する。
3.測量と機械工具・資材選定
- 配管の経路、距離と曲点・角度
- 露出か?埋設か?
- 仕上げ方法の確認
- 表層材の取壊しの有無と仕上がり具合
- 必要日数と人数、音や埃、車の出入りなどの制限の有無と駐車スペースの確認
等を把握する。必要ならばお見積書を提出する。
お施主さんのOKをいただき全ての準備が出来たら、いざ工事!
- 必須工具
必要に応じてその他の工具を追加!
継手の種類
- S ソケット 管と管を真直ぐ接続する。
- L エルボ 管と管を90°曲げて接続する。
- T チーズ 管を分岐する。
- IN インクリーザー 管の口径を変更する。異径継手。S・L・Tがある。
- VS バルブソケット 片方がTS接合でもう片方がネジ接合になっている。異種管接合継手。
- Ca キャップ 配管路を止める。
- 水栓継手 片側がメスネジの継手。S・L・Tがある。メネジの相手は器具になることが多い。異種管接合継手。
- 食洗器排水用継手 L字の物とT字の物がある。
その他にもあるが、使うのはおおよそこれくらい。
こんにちわ!お世話になります。DKです。 今回も『継手の種類』の中からの紹介で、HT継手です。 これも同じ硬質塩化ビニル製の継手です。でも私、この管種好きじ[…]
施工方法と注意点
新規の埋設管なら
- 堀山へパイプを入れて配管全体を見る。
- パイプ表面と継手接合部分の汚れをウエス等で拭く。
- パイプ側へ継手に入る長さを写す。
- 写した位置よりも少し短めに接着剤を塗布する。
- 継手側へも接着剤をパイプ側より薄く塗布する。
- パイプを継手へ回しながら挿入し文字を上に向ける。(露出配管時なら文字は隠す)
- 動かなくて、傷つかない物へ押し付けてしばらく待つ。
- 力を抜いてみて、パイプと継手が動かなければ接合完了。
- 埋め戻す前に通水し漏れをチェックした後、通りを測り、目視で確認する。
- 保温と管保護の為にライトカバー等の保温材を巻く。
- 大きい石や尖った物が配管に当たらないように管横まで細かい土や砂で埋める。
- 配管が浮かないように上から押さえながら管下の隙間をつつく。
- 配管を上から軽く踏んだり押したりして下がったりたわまなければ、通りを確認した後また石等に気を付けて土を被せる。
- パイプより10㎝~20㎝位被せたら足で踏み固める。これを繰り返して埋める。
既設管からの分岐なら
- 熱源を確認し、止める。
- 将来の必要性に応じてバルブ等を取付ける。
- 既設管を切断する。
- 既設管内の水分を切る。切りカスがあれば取り除く。
- 既設管へパイプを仮に繋げて配管全体を見る。
- パイプ表面と継手接合部分の汚れをウエス等で拭くからは同じ。
『1.全体を見る』は敷地や建築物、構造物に対して平行か?垂直か?等、真上から見たり、敷地の平面図や鳥観図を描いた時の見た目を気にして、綺麗に解り易く配管する。
パイプや継手を拭いたり、水を切るのは接着不良を防ぐため。切りカスがあれば取り除くのは将来障害になり得るモノを見つけた時に除去しておく。
そして慣れてくると『3.パイプ側へ継手に入る長さを写す』を省略できる。何故なら管の口径を見ればおおよその長さがわかるようになるから。
写した位置よりも少し短めに接着剤を塗布する・継手側へも接着剤をパイプ側より薄く塗布するのは、塩ビの接着剤は溶かしてくっつける。パイプへたくさん塗ると継手に挿し込んだ時に継手側よりもパイプ側がより溶ける事になる。パイプ側がより溶けるという事は、溶けだす塩ビは継手の中へは入りにくく継手の外側へ出てくる。そして少し短めに塗ってあると、溶けた塩ビがムニュっと外へ出てきたときに継手のところで止まる。継手の終わりは真直ぐなので見た目が良い。そして抜けていないことが目視で確認できる。
そして回しながら挿入すのは塗斑(ぬりむら)を無くすため。文字を上に向けるのは、将来管を破損した時等に管表面だけ掘り出せば口径がわかるから。露出配管時でも保温材を被せる時や塗装を施す時は字を表へ向ける。
保温材を巻いてあると熱が逃げにくいし、クッション材の代わりになる。HTは埋設であっても被せた方が良い。将来掘って見つけた時にもこれは「HT管」だと目印になる為もある。
埋め戻す前に通水するのは口径がΦ50以下の管にしたい。一般家庭の水栓や経路増設ならこれでOKだが、新築や工場・店舗等ではテストポンプを使って圧力をかけ、元請さんや発注者の方への試験報告書を作成する必要がある。
石や尖った物はこの管種以外でも気を付けなければならないが、HT管はVP管やHI管同様に内側から圧力がかかっているため注意が必要である。
既設接続時の『熱源を確認し、止める』は一番重要項目である。1台だけなら間違えようがないが、2台3台となると、予定の熱源が合っているかの最終確認をする。
そして将来の必要性に応じてとは、例えば今は母屋しかないが、近く息子さんが離れに夫婦で済む可能性がある。となると、熱源(給湯器)が二つなら良いが、一つのままであった場合どちらかの家で修理があった場合双方とも止めなくてはならなくなる。その為、個々で経路を遮断できるようにしておくという事である。
最後にこの『HT管』はかなり伸縮する。その為、コンクリート等の固定されて動きようがなくなる場所まで配管を布設する時、素直に最短距離で配管してはならない。特に露出時はそうなのだが、管が伸縮した時の逃げ場が必要なのである。これがないと、5年や3年でも管が折れる、割れる。
実は最近この管は、耐熱なので高温水の排水管にも使われる。いい例はキッチンの食器洗い洗浄機の排水管である。施工方法はVU管の施工方法と注意点を参考にしてほしい。
今日のまとめ
今日はHT管の施工方法と注意点を書きました。
写真は・・・・・またの機会に!
前回同様このHT管も水圧の掛かる管です。通水試験や圧力試験時が最大の山場です。そして、こいつは接着剤を塗っても滑りが悪い!VU管やHI管等のようにスムーズに継手に入ってくれません。
後5㎜!!とかよくあります。まあ、抜けることは無いんですが・・・・
そしてこの管は私は嫌いです。新品のパイプであってもエンビカッタで勢い良く切断しようとすると割れることもあります。少し取り扱いに慣れが必要です。
次回は塩ビ管の露出配管の方法と注意点及びその他の塩ビ継手等です。よろしくお願いします。
今日もありがとうございました。